創刊にあたって(1994年京生研機関誌『Kの世界』創刊号から転載)

                     近藤郁夫(愛知県立大学)

 京都生活指導研究協議会機関誌の発行を喜ぶ。

 私たちの実践は、私たちの息をしているこの地に立脚して、同じくこの地に息している子どもたちとともに、生活主体としてこの地にともども力強く登場する―ためであるならば、思いっきりローカリーに、京都という地にこだわりながら活動すること。
 この機関誌は、思いっきりローカリーなこだわりの実践がおおいに交流されていくことだろう。
 同時に私たちの思考は、京都の地に立脚しながらも、京都という枠を超えてこれまた思いっきりグローバリーなものでありたい。しかし、たとえ壮大であったとしても、確実に立脚した地がない場合、漂う浮き草の思考となってしまう。だから、活動において思いっきりローカルであることを追求しつつ、思考において思いっきりグローバルな、「テーマの無限」の気概で考え思い深め広げよう。
 この機関誌は、ローカルなこだわりの実践と、その実践の意味を問うグローバルな思考が意気高く交流されていく―その軸となっていっていくことを期待する。
 同時に機関誌は祭り的―息抜き的要素もあっていい。集団づくりの強靭な実践と理論という大地だけでなく、そこに咲いたさりげない花や通り過ぎていく風にも心を寄せる―そのような、また大地に生きる私たちが明日も元気で道を歩けるような、一服して休むものでもあってほしい。
 実践と理論と遊び心が満載な機関誌―京生研の個性的な仲間が、実践の喜怒哀楽の世界をリアルにひっさげて、またワイワイガヤガヤと遊び心満載で誌上に登場して下さることを楽しみにしている。
          この文の題字は江戸文字―遊んでしまったわい。ホコホコ。